メタルマックスRPG
テストリプレイ
(作注)
本リプレイはクレアテック企画のRPG『メタルマックス』シリーズの世界をTRPGで楽しむ(再現ではありません)ために急造したオリジナルルールです。
ベースルールは富士見書房刊行のメックウォリアーRPGですが、原型はほとんど留めておりません。
ゲームバランスやシステム調整等はまったくとられておらず、GMである総帥Nが思いつきで作った設定を瞬間的に盛り込んだもののテストプレイ風景をリプレイ形式にまとめたもので、正規のメタルマックスの世界観とは異なる点も多いことに留意ください。
またその作品の特徴上から非常にマニアックかつ難解な台詞が頻出しますが、テストなので説明もせずに進んだりします。悪しからずご了承ください。
GM : それじゃメタルマックスRPGの試験運用はじめまーす。
一同 : よろしくー。
GM : まず順番にキャラの名前と戦車を教えてもらえますか?
きーろ(以後、アレン) : それじゃ私からいきましょうか。名前はアレン。25歳の男性です。能力的には射撃・操縦共に平均くらいで、戦車はミサイルが撃ちたかったので重量級汎用タイプにしました。
GM : なかなか強力な戦車乗りですね。その型の戦車は豊富な武装と高めの装甲値のバランスのいい戦車ですよ。
↑ちなみにこれらの戦車データはとあるサイトに投稿されていたものをそのまま使っております。
当該機は遠距離・近距離ミサイル各種と一般的な口径の主砲を持つ万能型の戦車です。
メタルマックス2でいうところのレオパルドに近い感じです。
蓬莱(以後、ガーベラ) : 次は私ですね。名前はアインズ・ガーベラ。23歳の男性で、やはり戦車乗りです。こちらも能力を均等に割り振ったバランスタイプですね。個人携行武器として拳銃握ってます。戦車はアレンと同じく重量級汎用タイプにしました。
GM : うげ……戦車の操縦・射撃目標値がともに5かよ。ほんとに新人か、こいつ。
ガーベラ : ふふふ。
↑戦車乗りの中でもベテランに近い技術レベルに該当します。
しろへ〜 : あれ? この名前ってもしかして菊一文字?
ガーベラ : 当たりです。菊(ガーベラ)一文字(アインズ)ですね。
しろへ〜(以後、コテツ) : おお! じゃあ同じだ。こっちは名前がコテツ・ナカソネ。射撃技術重視の戦車乗りですね。個人携行武器は高速振動剣を選択しました。年は30歳ですね。
GM : 長曾祢虎徹と菊一文字則宗……。国宝級の大業物だな。地味に昔の総理大臣みたいな名前に変わってるのがイカス。
コテツ : そのままだと味気ないかと思いまして。ちなみに戦車は装軌仕様(キャタピラ)の中量級重装タイプに乗ってます。
↑こちらの戦車は陸上自衛隊の90式戦車のような外観でイメージしてます。
重量級との違いは武装を犠牲にするかわりに装甲を分厚くしていること。単位時間あたりの攻撃力は低くなりますが、継続して安定した戦闘を行えるのが特徴です。
メタルマックス2でいうところのウルフでしょうか。
ちなみに当リプレイは戦車で戦うRPGなため、マニアックな解説がわんさか出ます。わからない人は読み飛ばしてくださいな。
GM : あくまでキャタピラにこだわりますか。
コテツ : 無限軌道は美学でしょう(笑)
一同 : (笑)
GM : 言いたいことは非常によくわかります。キャラと相まって渋い戦車乗りになりそうだなぁ。
水城(以後、クラース) : んじゃ最後にこっち。名前はクライスト。略してクラースで。こっちも砲撃重視のキャラです。んでもって戦車がこれ!(データ見せる)。
GM : くぉら! 周りがスタンダードなキャタピラ戦車の中でなにを一人でホバー高速戦闘艇を使っとるか!
クラース : (満面の笑みでサムズアップ)
アレン : 物凄く嬉しそう(笑)
↑水城氏が選んだのはホバークラフト(浮揚走行)の軽量級高速戦闘タイプ。
機銃や主砲を持たず6連装ミサイルランチャーを4基(つまり24連装)搭載してヒット&アウェイを行うというかなり偏った設計思想のものです。
全てのパラメータを速度と攻撃力に割り振っているため、装甲の厚さや汎用性は皆無の一言。
かなり扱いにくいマニアックな機体と言えるでしょう。
メタルマックス2で言うバギーをかなり使いにくくしたような位置づけですね。
GM : ぬぅ。まるで予想外なことをしおってからに……。まぁ、なんとかなるか。とりあえず今回は試験運用なので世界観とか街の名前とかはスーファミ版のメタルマックス2をまるパクリしてます。もちろんそれだけだとGMがうまくまわせないのでオリジナル要素もふんだんにあるけどね。
コテツ : なるほど。
ガーベラ : 了解です。
GM : あと判定方法とか戦闘処理の簡略化に時間食いすぎたのでキャラ設定がまるで拾えません。だから細かい設定はナシの方向でどうぞお願いします。
アレン : わかりました。
クラース : ってことは全員、新人ハンターくん?
GM : うん。経緯は人それぞれ。誰かから譲ってもらったのか大枚はたいて買ったのか、あるいは自分で組み上げたのか発掘したりしてきたのか。とにかくなんらかの理由で戦車を手に入れた君達が心機一転! ハンター稼業で一発当てようと街にやってきたところからはじまるよ。
クラース : ハンター稼業で一発当てて、大金持ちに俺はなるッ!
GM : クラース、それ戦車乗りやない。海賊の話や!
一同 : (笑)
ガーベラ : ワンピースを求めて海に出ることになってしまいますね。
アレン : そして片腕赤毛の戦車乗りに見込まれると……。
コテツ : それがいわゆるレッドウルフですな。
↑週間少年ジャンプで好評連載中の『ワンピース』とメタルマックスとの意外な相似点でした。
GM : おお、話が繋がった! だが、本編にはまるで関係ないのではスルーだ。話を進めよう。現在、キミたちは仮称:エルニニョの街に来ている。割とでかい街なのでフリーのハンターも結構たくさんいるね。ちなみに説明する必要はないかもしれんけど、一応。ハンターの主な役割は遺伝子異常や突然変異などで生まれたモンスターや山賊夜盗の類の、いわゆる「賞金首」を狩ることだよ。賞金首には文字通り賞金がかけられ、討伐した証拠を持っていくとハンターギルドから報奨金がもらえるという仕組みね。
ガーベラ : 意味合い的には傭兵に近いですね。
GM : うむ。それ以外にも異常に数を増やした小型モンスターを「今週のターゲット」と指定して追加報酬を出すケースもあう。これらはハンターオフィスで確認できるよ。
アレン : それじゃ早速、オフィスに行ってみようか。
GM : ういうい。他の人もオフィスに来てると言う事にしてくれ。ちなみにキミたちはまだ知り合っていない。
クラース : これから知り合うってこと?
GM : そういうこと。
コテツ : なるほど。それじゃまずは今週のターゲットから確認を。
GM : オフィスのオヤジ「こんしゅうのターゲットはレーザーハチドリだよ」
コテツ : 出たか。レーザーハチドリ。
アレン : メタルマックス2で最初に会う敵だね。
GM : ま、戦車に乗ったら敵じゃないけどね。ついでにいうと今回では登場しないがなぁ!
一同 : なんで今週のターゲットにした!(笑)
GM : ふっ。ルールの再編に時間食われてデータができなかったからだ。俺は悪くないっ!(笑)
↑どう見てもGMの責任です。本当にありがとうございました。
クラース : い、意味がない……。
ガーベラ : 盛大に肩透かしでしたね。
GM : まぁ、そのかわりといっちゃあなんだが、酒場+ゴロツキ+酔っ払い=大喧嘩という不変の方程式により騒ぎを起こしとるのがいるぞ。
アレン : あれ? ここハンターオフィスなんじゃ?
GM : GMのご都合主義によりハンターオフィスと人間道具屋と酒場と宿屋は併設と相成りました。迅速なプレイ進行にご協力ください(笑)
↑困ったときは酒場でケンカ。展開が押してきたら一局集中。コレ、TRPGのマスタリングの基本です(笑)
アレン : なるほど……。
コテツ : 戦車の道具屋とか装備屋はないんだ?
GM : 戦車の改造ルールがまだ出来てないのでそれもおあずけですね。まぁ、未完成ルールでリプレイを強行したのは菊池たけし先生も通った道だ。きっとなんとかなると自己暗示もかけたから大丈夫!
↑アリアンロッドやセブンフォートレスなどのシリーズで知られる(有)F.E.A.Rの副社長、菊池たけし先生の逸話。
完成していないルールでプレイを強行、あまつさえそれを商業誌のリプレイに起こすという暴挙を成し遂げしまったのはそのスジの人には有名な話。
ガーベラ : だー! 自己暗示してどーするんですか!
クラース : このGMはそういう人です。諦めましょう(笑)
GM : ガッテンいただけたようですので先に進めるぞー。ケンカをしているのは君達の同業者であるハンターと武装集団「グラップラー」の構成員ですな。まぁ、ヤクザ同士の抗争みたいなもんだ。漏れてくる話を聞いてると足を踏んだだか踏まないだか、そんな些細な理由らしい。
クラース : くっだらねー!
コテツ : お互いの様子はどんな感じなんです?
GM : すでに拳銃や火炎放射器を用意して、いつでも引き金引ける状態。
アレン : すでに大惨事じゃないか(笑)
ガーベラ : 屋内で火炎放射器……正気かっ!
GM : そんな些細な理由で命の奪い合いになるのが荒廃したメタルマックスの世界の真骨頂じゃないかね? ご大層な理由はいらねー。一粒の麦のために命の奪い合いに発展する世界だってあるんだよォッ!
コテツ : パンプキンシザースですね。その麦一粒があればもう一言、言葉を聞けたかもしれないんだ。
ガーベラ : それにしたって『麦』と『足を踏んだ』じゃ重みが全然違う気が……。
GM : ハンター稼業もグラップラーもメンツが大事だからねぇ。ナメられたらお仕舞いだから引くに引けないところはある。ところでそんな状態の酒場にいるわけだけど、君らどうする? このままだと巻き添え食うよ?
クラース : 逃げます。一目散に自分の戦車へ!
クラース以外 : なんの迷いもなく脱走したっ!?
クラース : だって稼ぎにならないじゃん。俺ら戦車乗りだし。
アレン : 確かに……。
ガーベラ : しかし、判断が速かったなぁ。
コテツ : これがハンターに必要な素質なのかもしれんですな。無用な戦いは避ける。私達もちょっと離れておくことにします。
GM : うい。では時を待たずして轟く銃声、響く爆音。さすがに屋内で火炎放射は避けたみたいだけど、あっちゅーまに壁を破壊して目の前の通りのほうにまで戦線が拡大していく。と同時に街の外のほうでもなんか爆発音が。
ガーベラ : おや?
コテツ : 街の外? 仲間が待機してたのかな。場所は遠いですか?
GM : いんや。すぐ近くだな。あとなんかガチガチって硬いものを打ち合わせているような音が響いてくる。かなり硬質的な音だが、不思議と拍子木みたいによく響いて聞こえる。というところで全員、知性度判定してみて。
クラース&コテツ&アレン : 失敗。
ガーベラ : 成功!
GM : おおう? やりおるわい。それならガーベラは嫌な予感がするね。ここにいるとヤバイ。何かが来る気がする。
ガーベラ : ッ!? 全員、散れ!
GM : 判断が速かったので判定ナシで警告処理の成功としよう。キミらがいる通りのど真ん中をぶっとい光の柱が貫いていった。それは行き止まりにあった家屋に突き刺さり盛大な爆発音を上げて土煙を撒き散らす。
アレン : こわっ!
コテツ : 曳光弾かなにかか? 飛んできた方向を見てみます。
ガーベラ : 同じく。
GM : 視線を向けた先には戦車よりは二周りほど小さい、しかし人間とは比べようもないほど大きい獣がいる。口の端には火花がチリチリとたってるね。こいつは口から熱線を吐く能力を突然変異で手に入れた「レーザーライガー」という中型モンスターだ。ハンターギルドにきちんと登録されている賞金首だよ。
コテツ : WANTEDモンスターか!
ガーベラ : なんでこんな街中にそんなのがいるんだ!
GM : そりゃあなた。おなかがすいたからエサがあるところに来たんだろうよ。人間(エサ)があるところになぁ。
クラース : そんな簡単に街に入れるもんなの?
GM : 強力な装備を持つハンターならいざ知らず。対人用の護身武器しかない街の防備なんぞ賞金首のモンスターには無いも同然だよ。
アレン : ヤバイじゃないか!
コテツ : そのためにハンターがいるんじゃないか。賞金首を狩るのが仕事だ。
ガーベラ : まったくですね。それに報奨金が出るなら問題はありません。戦車に向かいますよ。
アレン : よし! 同じく戦車にむかうよ。
GM : オーケイ。んじゃ全員戦車に向かった。ちょうどここでキミ達はばったりと合うことになる。駐車場にある4台の戦車、そして4人のハンターが愛機に乗り込むのを各々が見るわけだ。
PC一同 : (無言で目線を合わせて一斉にうなづく)
GM : ほう? いきなりアイコンタクトで共闘対応か。いいセンスしてるじゃないの。
アレン : そりゃ街の人の命がかかってるし。
クラース : 一人ではさすがに無理やろー。
ガーベラ : 駆け出しハンターが一人で撃破するなんて虫のいい話は転がってませんね。
コテツ : なによりハンターは確実さを重要視するッ!。
GM : その意気や良し! では4台の戦車が飛び出してきたところでレーザーライガーと鉢合わせだ。場所は通りなので一本道だが、戦車が移動できる程度のスペースはある。でなきゃ戦車乗りの対応なんかできんしな。それじゃ戦闘スタートだ。
以下、戦闘パートは長くなるためダイジェスト形式
(BGM : お尋ねものとの戦い)
イニシアティブはアレン→ガーベラ→コテツ→クラース→GMの順。
レーザーライガーは小柄ではあるものの標準的な戦車の3倍の耐久力を持つミュータントモンスターとして設定してあり組し易い相手ではありません。
まずは間合いの詰めあい……のはずが、いきなりクラースが飛び出し大きく迂回。軽量高速な特徴を生かしてレーザーライガーの側面を取る対応に。
他の三人は足並みを揃え、5連装長距離ミサイルで削りながら間合いを詰めます。
が、いかんせん初陣なのでまばらなダメージにおさまります。
アレン : 意外と当たらないものだねぇ。
GM : 距離が遠いほど当たりにくいですからね。
最初はお互いに静かな立ち上がり。
しかし、お互いの主砲の射程距離に入ったところで一転。盛大な撃ち合いになります。
アレン、ガーベラ、コテツの戦車の主砲はオートキャノン10。メタルマックス風にいうと100mm主砲。
大してレーザーライガーの攻撃はバトルテックでいう大口径レーザー相当の熱線。
威力的には戦車の主砲のほうが強力なのですが、レーザーライガーには弾切れと弾薬の誘爆が存在しないというメリットがあります。
轟く砲音、渦巻く砂塵。ここが市街地であることすら忘れてド派手な砲撃戦が展開されます。
ところで、本来は戦車は複数人数で動かさなければならないという素朴な疑問について……。
コテツ : そういや、この戦車ってどうやって砲弾を装填してるんだろう? 操縦と装填を同時にはできないよなぁ……。
GM : メタルマックスの『Cユニット』に該当する統合管制コンピュータによって、砲弾装填・火器管制・操縦補助・射撃補正を行い、極限まで簡略化・自動化されていますから、この世界の戦車は実質一人で操縦できるんですよ。
こんな設定になってます。
さて、戦局がどうなったかですが、ここで活躍したのはまさかのクラース。
迂回した先から6連装短距離ミサイル×4が炸裂。レーザーライガーの横腹を抉り取っていきました。具体的にHPの四分の一が削ぎ取られた結果に。
GM : いってぇぇぇぇぇ! マジでシャレにならんぞ、この威力。
クラース : いえーい♪
さらに追い討ちをかけるようにアレン・ガーベラ・コテツの主砲とミサイルがばすばす突き刺さります。
レーザーライガーも懸命に応戦はするもののわずかに装甲を削るだけ。
結局、5ターンと持たず、逃げることすら許されずレーザーライガーは討伐されました。
GM : OK。では見事レーザーライガーを撃破したところで砲声が止んだのを聞きつけた住民達が駆けつけて大歓声を上げる。
ガーベラ : 割となんとかなるものですね。
アレン : ちょっと装甲を削られたけどね。
クラース : ああああああ! ミサイルの弾薬代、たっけぇー!!
コテツ : 威力のぶんだけコストも凄まじいなぁ。
GM : 特にクラースの戦車は同時発射数が多いミサイル積んでるからね。おおよそコテツの戦車の6倍近い弾薬費がかかるよ。全弾発射したら札束バラまいてるよーなもんだ(笑)
アレン : 私達も他人事じゃないんだよね……。
ガーベラ : 今回はあんまり使わなかったですけど……。
GM : アレンとガーベラの重量級汎用戦車も4連装ミサイルランチャーを3基も搭載しているから、調子に乗って撃ちまくったらあっという間に支出が収支を上回るぞ。赤字街道まっしぐらじゃ。
コテツ : 主砲主体の私にはあまり縁が無い話だ(笑)
GM : まぁ、問題がなかったわけではないが初陣で賞金首を取ったんだから大したもんじゃないかね。そしてハンターオフィスのオヤジも「やるなぁ」と声を漏らしているね。
GM : オヤジ「兄ちゃんらは街に出てきたばっかかい? パーティ登録は済ませてるのか?」
コテツ : パーティ登録?
ガーベラ : それってどんなことなんです?
GM : オヤジ「さっき自分達がレーザーライガーに挑んだときに思わなかったか? よっぽど腕に自信が無い限り一人で賞金首に挑むのは無謀ってもんだ。しかし複数人いたら今度は報奨金の分配でモメることが多いんだよ。ハンター稼業に足つっこんでるヤツはクセモノばっかりだからな」
アレン : ああ、確かにモメそうだ。
クラース : ……ミサイル代とかミサイル代とかミサイル代とか。
GM : オヤジ「そんなモメごとを最低限に解決するために、あらかじめハンターオフィスにパーティ登録しておくんだ。報奨金をある程度、割り振ってくれるようになる。ついでに各地のハンターオフィスにパーティの情報を送るから、行った先で自分の身の丈にあった情報を回してくれるようになるんだよ」
ガーベラ : 便利ですねぇ。
コテツ : でも、それって個人でも問題はないんじゃ?
GM : オヤジ「もちろん個人でも出来るがハンターオフィスとしちゃパーティ登録をオススメしたいね。ハンターがいつだって五体満足で帰ってこられると思ってるわけじゃないだろ? 消息確認に時間を取られて手続きが止まるのは面倒くさいんだ。全滅しない限り、パーティの中の誰かが現状を報告してくれりゃ俺達としちゃ仕事が減るのさ」
クラース : うーわ……意外と冷たっ!
コテツ : でも、確かにメタルマックスってそんな世界観だなぁ。
GM : 『あんたは強ぇ! 強いヤツは正しい!』そんな世界だもの。さてどうする?
コテツ : 私は依存ないですな。ハンターは確実さを重視する。報酬は四分の一になるとしても危険が減るなら願ってもない。
ガーベラ : 同じく。駆け出しのころは欲をかくよりコツコツとです。
アレン : 異議なーし。
クラース : なーし。
GM : それではポンポンポンと……。4人は現在よりハンターオフィスにパーティとして登録されました。ついでに現在の賞金首の情報も更新されますね。
コテツ : レーザーライガーのところに『済』マークが。
GM : そのたうり。ついでにキミらには次の手近な賞金首の情報が提示されるようになるよ。
アレン : へぇ? どんなやつだろう?
GM : エルニニョの街の南の砂漠に生息している非常に大型のモンスターで『デザートシャーク』という。砂漠を自在に泳ぎ回ることで有名。
一同 : スナザメだーっ!(爆笑)
↑メタルマックス2で最初に出て来る賞金首にスナザメというのがいるのです。
ゲームに慣れないうちに会ってしまうとほぼ瞬殺されます。もちろん総帥Nも瞬殺されました。
……おのれ、スナザメ。
GM : 期待していた反応をありがとうございます。まぁ、途中で丘陵地帯を抜けていかないといけないからちょっと大変だけどね。そのへんは稀にグラップラーの人間狩りが行われているし。
クラース : 人間狩ってなにをするつもりなんだろね。
GM : そら、奴隷として売り飛ばすとか治験だとかいろいろあるんでね? まぁ、ハンターが気にするこっちゃないけどな。
ガーベラ : ですね。見つけたら即討伐してしまいましょう。
コテツ : そうすれば、この騒がしい世界も少しは平和になるだろう。
GM : うむ。では、特に問題がなければデザートシャークの討伐に向かうのでOK?
一同 : OK。
ここからハンター達は街で買い物をすませるとすぐに南の丘陵地帯に向かいます。
が、もちろんそのまま素通りさせるつもりはGMにはないわけで……。
GM : では、丘陵地帯も中盤を過ぎたころだな。全員、知性度判定をしてみてくれ。
アレン : んー、失敗。
コテツ : こちらも失敗。
クラース : しっぱーい。
ガーベラ : 成功です。
GM : ちっ! 気づいたか。ガーベラが戦車から身を乗り出して双眼鏡で見てみると、どうも前方の地面の色が他と違うことに気づく。何かを埋設したような感じだ。
ガーベラ : これは……全員、止まってくだ……
クラース : 直進します!
一同 : ……は?
クラース : 全速前進! 突撃開始! ガンホー! ガンホー ! ガンホー!
アレン : ええええええ!
コテツ : なんてことを……。
ガーベラ : いや明らかに地雷が……
どう考えても罠がある道に突進するクラース。これはさすがにGMも温情をかけられないわけで……。
GM : ……悪いがプレイヤーが宣言したから処理するぞ。後悔するなよ?
クラース : (手招きしながら)カモーン!
GM : ならば喰らえ! ガーベラの予想通り、埋設されていた地雷が炸裂する! 最大威力のヤツだから痛いぞ。
クラース : ちょぉっと待ったぁ! ヘイ、GM、その地雷は『どんな』地雷?
GM : どんなって、標準設定の『重量感知式振動地雷』……あ……
↑重量感知式振動地雷
埋設した上からの重量を感知して作動するタイプのもので、ダメージとは別に振動によってエンジンを一時的に停止させる効果がある地雷。
バトルテックの世界では割と一般的な代物。
クラース以外 : ???
GM : しまった! クラースの戦車は……
クラース : 軽量級のホバーでーす(笑)
アレン : あ、そういうことか!
コテツ : 戦車が軽すぎて反応しないのか(笑)
ガーベラ : おまけに浮いてるから振動すら伝わってこない(笑)
クラース : このGMはこのテの罠を使う。そんな気がしてた(笑)
GM : どちくしょー! 読みきられた!
クラース : ふはははは! 地雷なんて関係ないザマス〜
GM : 地雷戦法に失敗したのを見て、まわりの岩陰とかからミサイルランチャーを持った歩兵がぞろぞろ出て来る。つっても一目散に逃げ始めるけどな。
GM : グラップラー「くそっ! なんで地雷が反応しないんだ!」
完全にクラースのプレイヤーに展開を読まれてしまったGMです……。
本来はグラップラーの集団戦法と強力な地雷で足止めしてそこそこ苦戦させるつもりだったんです。
しかし目論みが外れた今となっては烏合の衆にしかすぎないわけで……。
コテツ : そこの一団に機銃掃射。命中。
アレン : 逃げてるグラップラーに長距離ミサイル発射。命中。
ガーベラ : そこの影に隠れてるのに100mm主砲をプレゼント。命中です。
GM : ……さよなら〜さよなら〜さよなら〜♪ 嗚呼♪ もうすぐ〜キミは〜谷〜の底〜♪ ……グラップラーの集団がばらばらと谷底に蹴散らされていく。
クラース : ふははははは! 見ろ! 人がゴミのようだ!(←ミサイル代がもったいないのでグラップラーを戦車で追い回している)
一同 : (爆笑)
GM : もうどっちが悪役かわからんな。
クラース : 俺達は強ぇ! 強いヤツは正しい! だから俺達は正しい(笑)
GM : 正当化しやがった。でも世界観的には間違ってないんだよなぁ……。
というわけであっという間に殲滅されてしまいました。
その後、砂漠地帯に到着するものの日が暮れてしまったために野営する一行。
野営のときの判定に失敗して地味にクラースがダメージを負ったりしますが、ほとんど問題もなく翌日を迎えます。
夜が明けてからスナザメを捜索することになったのですが……。
GM : うーん、遠めから見てもそれらしき砂飛沫は見えないね。
コテツ : 話に聞くと、かなり大きい個体だから目立つはずだが……。
アレン : 闇雲に探したんじゃ見つからなさそうですね。
クラース : あー、ちょっといい?
GM : なんぞぬ?
クラース : 弾が補給できそうな場所はない?
ガーベラ : 確かにだいぶ消耗してますね。弾薬費もバカにならないし。
GM : なるほど。いい判断だ。砂漠を西に進めば仮称 : マドの街がある。そこなら弾薬の補給ができそうだね。
コテツ : 街なら何か情報もないかな?
ガーベラ : 情報収集と補給を兼ねて一度、街に寄ってみますか。
GM : オーケイ。まぁ、仮称 : エルニニョの街と交流があるからマドはすぐに見つかるよ。ハンターオフィスもちゃんと設置されてるし、併設で戦車の弾薬も売ってくれる。
クラース : よっし! 弾薬購入。全快!
アレン : では、補給を済ませたら情報収集だ。
コテツ : スナザメに関して何か情報はない?
GM : 情報収集のためにハンターオフィスを訪れたが、中は騒然としている。壁には大きく貼られたスナザメの手配書……それに赤いバツがついている。
アレン : あら、討伐済み?
ガーベラ : 一足遅かったですか……。
GM : いや、そういうわけではないみたい。
GM : オフィス受付「エルニニョとマドを結ぶ定期輸送便が、東の砂漠でスナザメの死体を見つけたんだってよ。でも、どのハンターからも討伐報告がなくてな。ついでに明らかに戦車の装備ではない大きな傷がついていたそうだ」
コテツ : これは……モンスター同士の喰らい合いか?
ガーベラ : そう考えるのが妥当ですね。
GM : オフィス受付「ハンターオフィスでもその仮説で固まってるが、安易に決め付けられないからな。現在は鋭意調査中ってところだ」
アレン : 調査結果はどれくらいで出るの?
GM : オフィス受付「仮説が当たっているとするなら、すぐにスナザメを倒したモンスターの目撃情報が入るはずだ」
クラース : そういやスナザメの賞金ってどうなるん?
GM : オフィス受付「ん? 現時点ではスナザメがいなくなったわけだから賞金は消滅する。だが仮説どおりモンスター同士の闘争の結果だと判明すれば、スナザメを倒したモンスターにその賞金が引き継がれることになる。スナザメが倒せるってことは人間にとっちゃそれ以上の脅威ってことだからな」
コテツ : 確かになぁ……。
ガーベラ : とにかく今は情報待ちになりそうですね。
ここらで一行はマドの町にて一泊して情報を待つことに。
そして翌早朝、朝日が昇るころにマドのハンターオフィスに新しい情報がもたらされる。
移動する行商隊が目撃したそのモンスターは背中に大砲を背負う巨大なサイのような外見をしていたという……。
GM : というわけだ。サイゴンの変種で名前を『キャノンサイファー』という。角が4本あるのが特徴だ。こいつがスナザメを屠ったモンスターと見て間違いないだろね。
一同 : サイゴンかよ!
↑サイゴン
メタルマックス2に出て来る賞金首。
背中に大砲を背負った巨大なサイなのですが、予備知識なしの初見だとほぼ確実に歯が立ちません。ついでにこいつからは逃げることができません。
初見殺しと呼ばれたモンスターです。
アレン : いきなりターゲットレベルが跳ね上がったんだけど……。
ガーベラ : というかこいつ、一体どこから来たんですか。生えてきたわけでもあるまいし。
GM : 本来、サイゴンはエルニニョの街の北西、河と海を隔てた僻地の砂漠に生息している。変種とはいえサイゴンなんだから、そっから渡ってきたんじゃないかと思われるね。
クラース : 戦車でも勝てなさそー……。
GM : 今ならそうでもないとは思うけどね。
コテツ : そりゃまたなぜ?
GM : キャノンサイファーがいるエリアは今までスナザメがいたエリア。んでもって、こいつは縄張り争いの末にスナザメを倒してここにいるわけだ。
ガーベラ : ですね。
GM : よっぽど能力に差があるのならいざ知らず、賞金首モンスター同士が戦って片一方が無傷ってありえないと思うよ。足の遅い行商隊が姿を見てから無事に帰ってこれるくらいだもの。
アレン : あっ!
クラース : 相当弱ってる?
ガーベラ : でも、確かに考えられますね。
GM : 弱ってるかどうかはあくまで憶測の域を出ない。攻めるか引くかはハンターの判断となるよ。どうするね?
一同 : …………。
コテツ : 行こう! ここで行かないくらいならハンターやめて堅気の仕事をするべきだ。
アレン : 乗った! リスクは大きいが見返りも大きい。やるべきだろう。
クラース : 異議なーし。ハンター稼業で一発当てるつもりで街に出てきたんだもの。
ガーベラ : 同じくです。今が攻め時でしょう。弱っていると考えられるタイミングは今しかない。
GM : グゥッド! いい答えだ。メタ発言すると時間が過ぎるとヤツの体力が回復するんだぜ(笑)
一同 : 急げぇー!(笑)
腹をくくったハンター一同。戦車に乗り込み夜明けの街を勢いよく飛び出します。
目指すは東の砂漠。狙うはキャノンサイファーの首。
ほどなくして一同は砂漠の岩陰で丸くなって眠る大きな塊を発見。
一見しただけでは岩と見間違いそうだが、その認識をはっきりと否定する砲門が砂漠の太陽を受けて鈍く光っている。
GM : いたね。間違いなくキャノンサイファーだ。ぶっちゃけかなりでかい。全長で15m前後ある。
クラース : でかっ!
ガーベラ : まともにぶつかったら当たり負けしますね。なんとか奇襲できないかな?
GM : ところがぎっちょん。さすがに戦車のキャタピラ音を聞き逃すほど野生の動物は甘くねぇぜ。キミたちに気付いてのっそりと起き上がる。安眠を妨害されたのが頭にきたのか、かなりお怒りの模様だ。
アレン : いきなり怒り状態からスタートか。
コテツ : ここまで来たらやることは変わらない。作戦開始ー!
またもや戦闘はダイジェスト形式
(BGM : お尋ねものとの戦い)
お互い目があった状態で戦闘開始です。
見るからに猪突猛進タイプのキャノンサイファー。その破壊力は想像以上です。
しかし、戦車と違って砲塔を持たないため正面方向にしか攻撃できないという欠点があります。
それらを逆手に取り、クラースが持ち前の高速移動で迂回、背後へ。
アレン・ガーベラ・コテツは3人がかりで迎え撃つ体勢です。
4人はいっせいに攻撃を開始。しかしキャノンサイファーは攻撃を行いません。
ガーベラ : 攻撃しない? 力を溜めてる?
GM : ふふふ、どうかのう?
それは次のターンでわかります。
さらに間を詰めて押さえ込もうとしたコテツの戦車を押し戻さんばかりの強烈な砲撃。
キャノンサイファーの名前に恥じぬ大砲によりコテツの戦車の前面装甲が一撃で半分吹き飛ばされます。
コテツ : なんだこの威力!?
GM : キャノンサイファーは戦車よりも図体がでかいから積んでる大砲の口径もでかいよ。そのぶん射程距離が短いのだ。
ガーベラ : だから撃たなかったのか!
GM : げっげっげっ。君達から距離を詰めてもらうのを待っていたのだよ(笑)
GMの性根の悪さが見て取れる作戦、ここに功を奏せり。並みのハンターならあとはジリ貧になるところです。
しかし、彼らは恵まれた装備と強固な装甲を持つ戦車隊。威力が足りないなら手数で勝負とばかりに撃ちまくります。
アレン : 4連短距離ミサイルを一斉射! 命中。
ガーベラ : こちらも同じセットで全開射撃です。命中。
コテツ : 真正面から主砲で打ち抜く! 命中!
GM : おにょれ、ちょこざいな。
しかし、一番困りものなのがやっぱり彼でした。
クラース : こそーりと近づいてケツに6連短距離ミサイル一斉射撃! そしてさよならー(笑)
GM : 待たんか、コラー!(笑)
相変わらずの強襲離脱戦法でごっそり体力を奪っては逃げ去っていくクラース。しかしそれに目をやっていると残りの3人に袋叩きにされる始末。
戦争で勝ちたければ数を揃えよとはよく言ったものです。
しかし、キャノンサイファーの大砲は健在。かすっただけでクラースの戦車をバラバラにできます。ならばラッキーヒットが1つあればいいとGMは思っていました。
だがしかし……
アレン : 再度、ミサイル発射!……あ、六ゾロ、クリティカルだ。
GM : うおっ!? クリティカルが出た場合は部位破壊が起きたかどうかの判定を行うので再度2D6振ってください。
アレン : えーと……出目は9。
GM : ぐ……1箇所部位破壊したか……。ここが正念場だな。どこの部位が壊れたかランダムに決めるのでもう一回2D6です。
アレン : また9が出たよ。
GM : ぐはぁっ! 背部主砲が壊れた!
一同 : ナイスッ!
アレン : OK。まずはその邪魔な大砲からいただきだ!
バラ撒かれたミサイルの雨が降り注ぎ、キャノンサイファーの特徴である主砲を爆砕。これはGMも予想していませんでした。
名前にキャノンとついてるのに主砲が撃てないようでは攻撃力は半減です。しかし、キャノンサイファー本体の重量による突進攻撃は健在。弱った戦車を押し潰すくらいなら難はありません。
さらにハンター側にもとうとう綻びが……
コテツ : やばい。あと一撃もらったら落ちる。
ガーベラ : さすがに厳しいですか。
GM : そら、アレン・ガーベラ・クラースに攻撃が行かないようにコテツが一人でキャノンサイファーの頭を押さえてたからなぁ。
刻々と変動する戦局の中、装甲が一番分厚い戦車に乗るコテツがずっと一人でサイファーの頭を押さえていたのでした。
盾役のコテツが倒れれば、あとはパーティが一人ずつ粉砕されていくのは時間の問題。そしてその盾にトドメを刺すべく賞金首が動きます。
ガーベラ : お互いのダメージから逆算すれば、このターンで決着がつきますね。
GM : おうよ! ここまできたら、どっちが先にくたばるかのチキンレースだぜ! コテツの戦車に突進攻撃。覚悟ぉー!
コテツ : 迎え撃つぞ。主砲装填。仕留めてやる!
アレン : 援護入るよ!
クラース : 同じく! やっちゃえ。
ガーべラ達の援護射撃を全身に浴びながら、なおも歩みを止めないサイファー。ややあって鈍い重低音が砂漠の空に響きます。
GM : くそっ! 外した……。
コテツ : 残念だったな。そのひょっこり出した頭に主砲が命中だ。
GM : ……くぅぅ。その一撃で決まりだ。カウンター気味に入った砲弾が頭部に突き刺さった。一呼吸おいてキャノンサイファーはその巨体を砂漠に横たえた。キミらの勝ちだよ。
一同 : よっしゃああああああ!
見事、キャノンサイファーの撃破に成功した一同。満身創痍の戦車に鞭打って4台がかりでキャノンサイファーの亡骸を牽引しながらマドの町へと帰還します。
GM : というわけで、賞金首ポスターが貼られてから一日足らずで討伐という異例の出来事に街の中では歓声と驚嘆で包まれてるな。
ガーベラ : 決して無傷ってわけじゃなかったですけどね。
コテツ : むしろ辛勝といったところかと。
クラース : 実際、あと一撃もらったら危なかったんでない?
アレン : たぶんもらってたら大破してただろうね。
GM : うむ。手加減ナシでいったからのう。とはいえハンターは結果主義だ。キミらはデビューしてすぐに賞金首を2頭も刈り取ったことになる。その名声が伝わるのに時間はかからないだろうね。
クラース : よっし! 目的が達成されてきている!(笑)
ガーベラ : いいことです。
GM : ハンターオフィスもこれを鑑みて、少しだけ報奨金を上乗せしてくれたよ。早期解決によるボーナスだな。
コテツ : さぁ、この金で飲みにでも行きたいねぇ。
アレン : ……うーん。
ガーベラ : どうしたんです?
アレン : いや、今、収支計算してたんだけど……これ、壊れた装甲板の張替と使った弾薬代を清算したらほとんど残らなくない?
一同 : ……え?
GM : あー、機銃や装甲板ならまだ安いけど、主兵装、特にミサイルはアホほど値段が高く設定しとるからなぁ。下手すりゃ赤字でね?
一同 : ぎゃー!
GM : まぁ、おいおい稼いでいくしかねーわな。んじゃ、ここらでメタルマックスTRPGのテストプレイ終了します。お疲れさまでしたー。
一同 : お疲れさまでした。